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心の中の仏

人は常に近くに神仏の存在を感じることで、幸せを得ることができる。という論文が2017年に発表されました。大阪大学大学院経済学研究科教授の大竹文雄氏らの研究チームが、統計学の計算手法を用いて9231人にもおよぶアンケート結果を分析されたところ、子供のころに寺院や神社が近くにある地域で育った人は、そうでない人に比べて大人になってから3割以上幸せを感じて生活ができ、実際の所得に影響しませんが、幸福を年収に換算すると、お寺やお地蔵さんが近くにあった人は約169万円、神社があった人は約55万円高くなる。またさらに、健康的な生活も送ることができるというものです。
つまり、子供のころ自分が通った道にお寺や神社があったり、遊びに行く場所にお地蔵さんがあるなど記憶にある人は、将来的に幸せに暮らしていくことができるというのです。

なぜお寺や神社が近所にある人は幸せを感じるのでしょう。

論文では、寺社のお祭りや催し物の影響や親の信仰心の影響を省いて考えても寺社の存在そのものが幸せを感じることにつながっていると示しています。
お寺や道々にあるお地蔵さんが近くにあると、人は神様や他人から見られている感覚をもち「天は悪事を知っている」「神仏は存在する」「死後の世界が存在する」という世界観を持ち、神仏や他人に見られている感覚をもつことで正直になり、人間関係が良好になって幸福度や健康に影響を与えているといいます。
確かにお地蔵さんの前を通ると自然と手を合わせてしまうし、お寺やお地蔵さんの前ではごみのポイ捨てなど悪い行いに抵抗感を感じます。実際に、長野県の上小地域では「ごみ無し地蔵」というお地蔵さんを不法投棄の多い地区に設置したところ、不法投棄が激減したそうです。

「誰かに見られている」という感覚はとても大切です。人は「誰も見ていない」と思うと邪な心が出がちです。他人から見られている感覚をもつと人は誰かのためになるような行動をとったり、正直な行動をとる傾向があることが心理学の実験で確認されています。
家庭内に仏壇や神棚がある家庭で育っても、同じように大人になってから幸せを感じながら生活を送ることができるそうです。
ただし、実際にお寺が隣にあっても、そのお寺の存在に気が付くなど、近くにお寺やお地蔵さんがあったことを記憶するだけの関りがないといけません。
人には仏性があります。仏教は、それに気づくことが大切であると説きます。自分の心の中に仏がいるのです。

お寺や家庭の仏壇の前で手を合わせることで、自分自身の仏を実感する。誰かに見られている、見守られていると感じ、誰かのためになるような行動を取ったり、正直な行動をとる心を忘れずに生活することができれば、このコロナ禍の時代であってもきっと幸せに暮らしていくことができると思います。心の中の仏を感じてください。

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